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Whisper
2024/05/10[Fri]
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2011/02/09[Wed]

『 太陽と月は、決して…交わる事はないんだ 』



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*********


夜空に淡く浮かぶ月を眺めながら思考を走らせた。
太陽が沈むと月が浮かぶ。月が沈めば太陽が浮かぶ。
毎日当たり前に起こる現象が今は凄く重いものに感じられるのは何故だろう。
その答えは、当に出ていた。だた、それを認めたくない。
だけど、納得させる為にはそれを理由とするべきなのかも知れない。


太陽と月が交わってしまったら、崩れてしまうから――



***



「はぁ?」
「え…いや、突然そんな事言われたから俺にも良く解んないんだけど」
「アー…」

神妙な面持ちと言うよりかは完全に迷宮入りしてちんぷんかんぷんな表情で首を傾げるフレスコが居た。
問い詰めようかと思ったが、そうしたところで意味の解ってないコイツに聞いても何も出てこないだろう。

事の始まりはフレスコと彪生が連んだ際にある。
大概こいつ等は四六時中一緒に居て街中を駆け回ってるのを良く見かけるし、
それは客観的に見てる俺にも当然の光景になっていた。
ただ、稀にこうやって彪生の姿がなくフレスコと俺の二人だけの事もあるわけで。
街でふらついていたところでばったりと会い、「彪が忙しそうだから」と連む事になって現状に至るわけだが、
唐突過ぎるタイミングでフレスコが不可解な問いを投げてきた。
それはそもそもフレスコが彪生に因って投げかけられたものらしいが。
内容と言えば、謎掛けと言うよりかは彪生の一方的な意見にも感じられた。
だがそう感じたのはどうやら俺だけのようで今は未だ目の前のコイツに指摘はしていない。
何の為に彪生がそんな事を言ったのかは知らないが、
多分コイツにそれを告げると更にパニックを起こす気がしたから。
それにそこまで教えてやるほど親切でもない。
崩れる気配のない空を仰ぎ見て一瞬だけ思考に耽る。
そんなことはせずとも俺なりの答えは当に出ては居たが。
あたかも難しいと思わせ振りに顔の角度を戻して隣のフレスコを一瞥。

「彪生って唐突に意味解んねぇ事言い出す奴だっけか?」
「いや…」
「あー…ンじゃきっとお前に何かしら不満あるンじゃねぇの」
「え…!? ふ、不満てどんな・・・」
「さァな」

思った以上の驚きと焦燥を露にした相手に対し、俺は平然と受け流す。
確かに外から見てもこいつ等が異常に仲が良いのは解るがそこまで驚く必要があるのか謎だ。
だが突っ込む事はせず様子を伺っていると、別方向をさっと向いて考え込む背中と出会った。
顔面が正反対を向いた所為でなにやらブツブツ呟いているが全く聞こえない。
さほど興味が沸いたわけでもなく俺と言えば凭れ掛かっていたパイプに飛び乗り、
大通りに行き交う人々の人間観察に向けた。

人は面白いもので中には外見と激しくギャップのある奴がいる。
誰しもが必ず腹の底に素の自分を飼ってて普段はそいつ等は息を潜めてる事が多い。
この街にやってきてからフレスコを含めた4人で主に連んでいるが、
正直なところこいつ等の中でも解り易く裏の顔を持ってるだろうと予想つくのは彪生か。
勝手な個人的観点ではあるが一番親しみ易くていつも明るく振舞う奴は大抵何かある。そう踏んでいる。
それに彪生は個人的に何か匂うのも否めない。
エデルといい彪生といい、俺の周りって妙でなかなかに面白い奴が多くて退屈しなくて済むのは有り難い事だが。
そんな直ぐ横に居るコイツも最近はそれとなく感じるものがある。
腹に抱えた者同士を傍から観察するのは面白い。

「うわー…解んねーよ!大体なんで太陽と月なんだろ?うう…彪の考えてる事解んねーよ!」

何気なくぼんやりと街の風景を眺めていた矢先に唸り声が聞こえてきてそちらへと顔を向ければ、
そこには眉間に皺を寄せて今にも髪を掻き毟り出しそうに頭を抱え込んだフレスコが。
疚しげな様子は観察してるうちにどんどん激しくなっていく。
遂には予想したままグシャグシャと髪を盛大に掻き毟り出して声をあげ始め、
個人的にはとても面白い姿ではあるがきっと本人は窮地に立った心境なのだろう。
客観的立場の軽視具合に自らを鼻で笑えた。

彪生から投げられた問い。それは―――

『太陽と月はね、交わっちゃいけないんだ』




「・・・・・」

さて、どうしたものか。問いというよりかは断言に近い物言い。
どんな心境で彪生がそれを口にしたのかは、その場に居なかった俺には到底想像は付かないが、
何を指しているのかは何となしに解る気がした。ただそれはあくまで推測に過ぎず口走るには至らない。
先程はからかう目的で適当なことを告げてはいたが、こうも真剣に悩まれると考え物だ。
このまま延々と悩まれては埒があかない。
フレスコは相変わらず唸ったり溜息をついたり足元の小石に八つ当たりでもするように蹴り飛ばしたり。
一向に答えが出ないといった様子だ。
俺はというと、相変わらず澄み渡っている青い空を見上げる。
そしていつもよりも少し余計に身体を沿った先にはまだ光を見せず淡く青の中に薄らと浮かぶ月が見えた。

(ああ、やっぱり。恐らく・・・そういう事なんだろう。)

ぼんやりと浮かんだ思考が何故か余りにすんなりと受け入れられたのか、自然と納得した。
俺が出した答えは恐らく限りなく確信に近いだろう。
ただそれは、この目の前に居るフレスコにとって、今此処で告げるには酷と思える。
だから敢えて本人が自ら答えを出すまで黙っているべきなのかもしれない。
それに彪生が出したこれはきっとフレスコにのみ向けられたものなのだから。
と、柄にもなくそんな思考を巡らせる。
これ以上この場にいたら余計な事まで口走りそうだ。
思い悩む相手を他所に、硬いアスファルトを踏み締め一歩、また一歩と距離を開ける。
不意に足音に気付いたフレスコが顔を上げたのか背から声が聞こえた。

「あ、ちょ、何処行くんだよ!なあ、今の答え、妼は解った?」

声に呼び止められる形で振り返るが目を合わせずそのまま歩道を正面にする形で横を向いたまま空を見上げる。
そしてわざとらしく肩を竦めては溜息を吐いて見せるものの、フレスコは俺からの答えを期待しているようだった。
だが、その答えを教えてやる気はない。

「あのなァー…それは言われたお前が気付かなきゃ意味ねぇんだよ」
「え・・あ、あぁ・・ごめ。でもやっぱ気になるし」
「…ったく仕方ねぇな。一つだけ教えてやるから感謝しろよ」
「さんきゅー。で、何?」
「必ずしも答えが一つとは限らない。要は発想の転換。月ってーのは、手前だけじゃ光らねぇんだよ」
「へ?」

明らかに解っていない様子のフレスコを他所に、それだけ告げてまた背を向けた。
俺が言えるのは此処まで。後は本人が考えるしかない。
慌てて追ってくるような気配はなく、片手をヒラヒラと振って別れる意思表示。

「じゃあな。俺、これからエフィの顔見てバイトだから。ま、精々悩めよ」

ただ一言。それだけを悩む相手に残してその場から立ち去るべく足を進める。
見上げた空には相変わらず薄らと今にも消えてしまいそうな月が浮かんでいた。



月は自ら発光する事はない。視界に映るあの淡い光は太陽光が反射した恩恵に因るもの。
謂わば太陽がなければ月は人目に触れる事はないのだ。
月にとって太陽はその存在を主張するのに必要不可欠な存在である。
但し、必要としている月自身は決して太陽と交わる事が出来ない。

だからこそ月は自ら光る事の出来る太陽を羨んでいる。
けれどどこかで太陽の光を受けて輝く事に満足しているのかも知れない。



「月にとって太陽の光は眩し過ぎる、か…」

ポツリと呟いた言葉は吹き抜けた風と共に掻き消される。
他人がどうなろうと知ったことではないはずなのに。これが友情というものだろうか。
そんならしくない事を考え、自分自身を嘲笑しながら賑わう街中へと向かった。




彼は気付く事が出来るだろうか。彼の言葉を覆す其れに――




--------------


\(^o^)/
合間を縫ってちまちま書いたので文章残念な感じショボン。でも書きたかったテーマなので満足である。街の悪ガキ4人組的なイメージ彪生・フレ君・エフィ君・妼。商船が停泊している時は此処にエデルが混ざる5人組。悪ガキ主犯格は間違いなく妼とエフィ君だと信じてる。フレ君とひっくんは時々こんな感じで会話してて欲しいなーっていう願望を盛り込んでみたので割りと文章的に不思議な感覚な部分があると思いますー。あれ、此処ってひっくん心境じゃないよね?っていうのがあるのは仕様です。
絡みSS楽しいよー!借りて良い人教えてくれると良いと思うの。但し文は個人の性格とかがあるので把握しきれてないと激しく申し訳ない形になるので借りるにはチキンが伴うであるよ。その辺はちゃんと突っ込んで頂けると嬉しいです。と言いつつ無断で巻き込んでも良いと思い込んでたり関係持ってる子は既に勝手に借りてるけどね!事後報告はよくあること。あ、でも常識の範囲内です。元よりチキンなので事前・事後関係なくお借り宣言は本文する前に済ませるのがふぁすルールなのでご安心を~


ペたした画像は不意に描きたくなった和服彪生。和服難しいけど楽しかった!髪の毛も!
そしていつも以上に全体に比喩と言うか、関節的要素強くてごめんなさい!


<おこめ返し>
>○ω○!!!
なんというタイミングwwいつもタイミングが良いのは今更でしょ解りきってる!お祝い事は全力でするんだぜ!ホント1年て早いのう´ω` ラビネはね、うん、おやばかだけど可愛いと思う(笑)お菓子は勿論余るのを見越した量だからね。ていうか一緒に食べたいんだよ!あああバレンタインパークでえーtなんでもないお。後数日で終わってしまうではないか。これは早急にことに進んだ方がいいでござるよ。一緒にちょこ塗れになるんだよね^q^ ピンクの島咲くときとかいいなあなんて!ごにょりーぬ○×○
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