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Whisper
2024/05/10[Fri]
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2011/11/04[Fri]
【フレ彪】
ほのぼの:★★★☆




いつもと変わらぬ平凡な毎日。








真夜中。
常人なら既に寝静まって夢の中だろう。
それを象徴するように辺り一体の部屋や建物から漏れる光は殆どない。
二人でゲームに没頭し始めてから何時間経ったかなんて随分前に気にしなくなった。
そもそも眠気を知らない自分には何ら問題のない行為だったが、
ふと気付けば隣でうつ伏せに寝そべりながらコントローラーを手にしたフレスコは、
そう言えば少し前から眠そうに何度か大きな欠伸を繰り返している。
自分はといえば、同じ様に隣でうつ伏せになりながら下にクッションを挟む体勢。
更に昼間買い込んで来たお菓子を目の前に広げて、
フレスコのプレイするゲームを眺めながら暇を弄んだ足をゆっくり前後にばたつかせる。
そしてまたフレスコが何十回目かの欠伸をした。

「眠いんなら寝て良いよ?俺やっとくし」

摘んでいたクッキーを口へ放り込み、空いた手で隣からコントローラーを奪う。
連続で欠伸をし終わったあと、フレスコはすぐ横に避けてあった別のクッションへと頭をダイブさせた。

「んー・・・そうする。彪は眠くないの?」
「ぜーんぜん」
「すっげえ・・・だってもう日昇りそうじゃん。無理すんなよ・・・おやすみー」
「おやすみー」

力尽きて目を閉じ、もごもごと数回会話を交わしたあとフレスコの寝息がすぐに聞こえてくる。
どれだけ眠気を我慢したのだろうと可笑しくなってこっそり笑いながら、
横目に満足気に眠る表情を一瞥し、すぐに視線を画面に戻した。
直後にしんと静まり返る室内。
数時間もしないうちに日も昇るだろう。
時折こうして夜通しでフレスコの部屋に押しかけてゲームをやる事も少なくない。
そうすることで家に帰る必要性を無くしていた。

完全にフレスコが眠ったのを悟ってから、傍にあったもう一つの気配が姿を見せる。
実はずっと彼には知られずなまま灯炎は逆隣に片膝を立てた状態で鎮座していた。
傍に居ても決して邪魔はしてこないが、隣をチラ見してみると酷く退屈そうな表情と目が合う。
「まだ続ける気なのか」と目で訴えている。
当然である。ついさっき約束したのだから。
隣で気持ち良さ気に眠る彼が目を覚ました時驚くように。
それをまたアイコンタクトで返答すると灯炎から呆れを示す溜息が漏らされた。

『それより何日寝てない』
「んー・・・3日くらいじゃない?昨日も一昨日も夜は枯山水に行ったし」

脳内に直接響き掛けるのは灯炎の声。
寝ているとは言えいつ目を覚ますか解らず用心に越した事はない。
だからこうして彼は話し掛けてくる時は大抵この方法を取った。
ただ自分は同じように返す事は出来ないので極力抑えた声で返す。
答えを聞くなり灯炎の大きな手がポンッと頭上に乗せられる。
諭そうとする時のいつもの行為だ。

『眠りたくないのは解るが・・・いい加減、少しは寝た方が良い』
「子供じゃないんだからそんな事解ってる。眠くなったら寝るよ」
『それがないからだ』
「仕方ないよ。それは自然現象だもん。俺の所為じゃない」

夜一人になるのが好きじゃなくて、眠らなくなって随分になる。
それを続けているうちに眠気が滅多に来なくなった。
オカシな話だとは思うけれど、そうやって体が狂い始めたけれど、
それで体調が悪くなる事もないし、何より寝る必要がなくなったことは結果として嬉しかった。
だから今の状態を悔いたことはない。
けれど昔から心配性の灯炎は一定日数になるとこうやって注意してくる。
お節介とも思うけれど彼の気持ちを考えて反論はしなかった。
心配してくれるその優しさは心地が良いから。

灯炎はそれだけを忠告すると手を引いた。
それに合わせて止まっていたゲームを再開する。
直ぐ横では穏やかな表情で眠る、親友の顔があった。
そんな表情を見られるのも眠らないで済むお陰だ。





本人にも内緒な俺の大切な宝物。





*○ω○

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